第3回「表現に正解不正解はない」
今日のテーマは
「表現に正解・不正解は無い」
演出家や映画監督が役者さんに向かって「そうじゃない! 違う! 下手くそ!」と言っているシーンを目にしたことがあると思いますが、では何が違うのか? 正解は何か?
表現とは何か。
例えば、画家の世界で言えば真っ白なキャンパスに、一筆入れてこれが作品ですと言えばその作品は成り立ち、表現者としては正解の表現です。もちろん、見る人にそれが作品に見えるかどうかは別としてですが。したがって、表現者が表現した段階で表現としてはすべて正解です。
では、なぜ役者は映画監督や演出家から「違う」と言われるのか。それは、映画監督や演出家が求めているものと違っているからです。
画家は、作品の責任はすべて画家本人が持ちます。しかし、役者は映画や舞台の表現者でありながら、作品のすべての責任を持つことはありません。
作品のすべての責任は映画監督や演出家が持ちます。そして、そのすべての責任を持つ者は、作品を良くするために役者やスタッフに対し、指示・指導していくのです。その際に自分の意に沿わない場合に「違う!」と言っているのです。
ですから役者は、責任者である映画監督や演出家の求めていることを理解し、その要望に応える表現をしなければならないのです。
その要求に答えるためには、それだけの表現技術のバリエーションを身に付ける必要が有ります。
そして、その要求に答えられる者だけが、次の作品に呼ばれるのです。
それでは今日はこの辺で。
2018年10月15日