初投稿「羞恥心」
はじめまして。
日本放映プロの養成部担当、上野祐嗣です。芸能界に入り40年以上、新人タレントの養成に携わり20年以上になりますが、今までタレントや役者にとって必要なことを、文章にしたためたことはありませんでした。
なぜなら、そんなに大した知識や技術でもないと思っていたからです。しかし、当社のタレントから「もっと早く先生に相談し、色々聞けばよかった」と、言われることが多くなり。最近私も何かと忙しくなったせいか、伝えたと思っていたことが伝え切れていなかったこともあり、反省と共に、今後相談を受けた時により深く話が出来るように、このブログで色々発信したいと考え、挑戦することにしました。
勿論、生徒でない方も利用頂ければ幸いです。但し、ここに書かれることは私個人の持論ですから、意に沿わない場合も有ることは承知の上、読んでください。
まずはじめに
「羞恥心は表現者にとって第一の敵である」
羞恥心は生きて行く上で、必要不可欠なものです。道徳や人道といった自身の行動を適正化してくれる大切なものです。例えば、子供がおねしょをし、恥ずかしいと思う感情だとか、社会人としてのマナーやルールを知らず、恥ずかしい思いをする感情などは人を成長させる上で、とても必要なことです。
しかし、表現者(特に経験の浅い人)にとっては恥ずかしい感情が、集中力の妨げになります。
特に初心者にとって羞恥心は緊張を生み出します。
例えば初心者Aさんは、
上手く出来ているかが気になり、観ている周りの目を気にして本来やるべき事が出来ない。周りの反応が悪いと一層緊張する。そして、上手く出来ていないと思い萎縮し私は下手だ、向いていないんじゃないかと思うようになる。
ここで大切な事は、初心者は上手く出来なくて当たり前だという事を忘れてはいけません。
また、少し慣れたBさんは、
結果を急ぎ、演じながら評価を確認するために、先生や演出家を見てしまう。自分だけの表現を気にするあまり、相手役とは上手くかみ合わない。
結果は、必ず後から付いて来るものです。演じている間は、演じる事を楽しみましょう。
羞恥心を消す為には、演者が演じる事そのものにどれだけ集中出来るかによって、羞恥心は取り除かれます。そして観ている者がその世界に引き込まれて行くのです。
演者がラブシーンを恥ずかしいと思いながら演じる芝居ほど、観ている者が照れくさいものはありません。
簡単に集中すればいいと言っても、そうそう上手く行くものでもありません。一番いいのは慣れることです。人前で数多く演じる事です。