第16回「台詞を覚えるために②」
今日のテーマは
「台詞を覚えるために②」
前回、台詞の成り立ちと役者の役割をお話しましたが、今日はその台詞を具体的に覚える為に必要なことについてお話します。
皆さんは舞台の芝居を見たことがありますか?
舞台の芝居は観客に見せる前に、数十日もしくは数ヶ月かけて作りあげる作品もあります。
この舞台で発せられている台詞の数は膨大な台詞量です。1時間30分の作品ではページ数にして100ページ前後の量になりますが、上演時間は毎回同じです。30秒と変わることはありません。
1時間30分間にわたり、数人の役者が、かわるがわるに台詞を喋るにも関わらず上演時間は何度やっても同じなのです。
その理由は、台本の台詞(会話)は気持ちのキャッチボールで出来ているからです。キャッチボールのリズムとテンポが変わらなければ、同じ上演時間になる訳です。ということは、芝居は気持ちのキャッチボールが重要だという事です。
台詞をだだ覚えて喋るだけでは、棒読みの台詞になりますが、その台詞に気持ちが入っていれば「ことば」になります。ドラマはその「ことば」のやり取り(キャッチボール)で成り立ってます。
皆さんは、映画やドラマで感動した作品の台詞を全て覚えていますか? まずそんな人はいない筈です。台詞なんてほとんど覚えていないのが普通です。では、何故感動を感じたのか・・・それは、役者が発していた台詞の中の気持ちを受け止めていたからです。
役の人物の気持ちを追いかけていたからです。
では、台詞に気持ちを込め、言葉にするにはどうすれば良いのか?
活字で覚えた台詞を、気持ちで覚え直して、頭の中から活字を消す必要があります。
その為には、役作りに置いて、役の人物の生い立ちや、現在の環境・相手役との人間関係など細かく台本の中から拾い出して行く事からはじめます。
例えば、相手役が尊敬する先輩だとすると敬語で話す。挨拶は自分からする。返事は「はい。」になる。先輩の話は聞いてから発言しようとする。先輩の話で自分の気持ちが変わり、次の言葉を話したくなる。
このように少しずつ、頭の中から活字を消して「会話のキャッチボール」が出来るようにして行くのです。
次回は、もう少し具体的に台詞の一部を使って解説します。
今日はこの辺で、ありがとうございました。